日本財団 図書館


 

018-1.gif

 

◇大野町消防本部◇(広島)

 

018-2.gif

 

山陽道の沿線に発展した大野町は、広島県西部日本三景の「安芸の宮島」を望む対岸に位置し、東は廿日市市、西は大竹市、北は佐伯町に接し、広島市及び山口県岩国市の経済圏及び生活圏にあり、人口二五、九〇〇人余の町である。特に、町東部に位置する宮島口は、対岸の宮島への玄関口として賑わいをみせている。
瀬戸内海(大野瀬戸)に面する東西二一kmに亘る海岸線と南北一四kmに亘る総面積七〇・七五km2のうち約八〇%は山林で、そのうち五〇%にあたる二六・七km2が町有林である。海と山の豊かな自然を有し、「温もりと安らぎのある町」として発展している。
東西に伸びる平野部は、国道二号線、山陽自動車道(一部広島岩国道路)、山陽新幹線、JR山陽本線の主要幹線が縦断し、近年は交通の利便により瀬戸の島を背景としたリゾート開発が進み、ホテル・保養除などの施設の増加や宅地の開発も進められている。明治二二年の村制施行以来、昭和二五年町制施行、昭和三二年に消防本部が発足。現在、一本部、一消防署、四〇人の職員と一団、一〇分団、一八二人の消防団員が地域防災の任に当たっている。また、平成七年度にはモデル広域化の指定を受け、現在その運用を目指し検討を進めている。

 

♪山林火災特別指定
山林火災により、昭和三六年二〇五ha、昭和四四年八五ha、昭和四五年二七ha、昭和四九年五六haが焼失した。その後、山林火災特別指定区域に指定され、毎年当区域での消防団合同による山林火災長距離放水訓練を実施しており、実を挙げている。
また、当町の災害特性として、海岸線は帯状に開け、背後には風化花崗岩質の山々が連なるため、災害発生の危険が伴い、過去にはこの土石流により多くの人命が奪われている。これを教訓に、平成六年県内初の土石流発生監視システムを稼動し、町内六か所(無人)による監視体制を続けている。また、河川情報システムによる雨量情報も合わせ、正確な災害状況の把握とその情報は防災行政無線等により速やかに住民に伝達される。

 

♪「ちびまる号」製作
職員が余暇を利用し、三か月がかりで手作りのミニ消防車を製作した。このミニ消防車は、ゴルフカートの本体に消防ポンプ車の廃品を利用したもので、大きさ全長三・五六m、幅一・一九m、高さ一・六三m、重量約四七〇kg、最高時速は約十五km、四〇lのタンクを積載し長さ一〇mのホースからの放水が可能であり、サイレン、アンプ、マイク、ライト、水中ポンプ、赤色灯、スピーカーまで装備する。火災予防運動期間中をはじめ、年間を通じ町内の保育園児、幼稚園児、幼年消防クラブ員等を対象に乗車及び放水等を体験することにより、子供たちへの防火に対する関心を高めるために大いに役立てている。(写真)

 

♪災害弱者対策
町役場の福祉課とタイアップし、聴覚障害者等にすべてファクシミリを設置。救急要請、火災通報時はファクシミリにより通報するもので、予め既定の用紙に必要事項を記入しておき、一一九番通報時に使用する。毎年、一一九番の日にはその通報訓練を行うとともに災害弱者への緊急時の即応体制を整えている。

 

♪「和」「迅速」
小規模な消防本部が故にいろいろな問題を抱えている反面、職員は小規模精鋭の自覚はもちろんのこと「家庭的な和」以上に「統制的な和」を優先的に重んじるという。また、何事を行うにも職員各々の心が一つとなり、迅速に対応することを行政サービスの基本とし、住民の強い期待に応えることを信条とする強い心意気が職員各々に感じられた。(落合俊夫)

 

018-3.gif

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION